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7.似た環境でも賃金が違います

ホームである山口県周防大島町の定住促進以外にも、他県の市町村に講師としてお声がけいただくことがあります。光栄なことです。もっと呼んでいただきたいくらいです(笑)
お招きいただくことのメリットは、講師謝金以外にも知らないまちに足を運んで知見を広げることができる点があります。これは私にとって財産となっています。

以前、兵庫県の日本海側のまちにお招きいただいたことがあります。
新幹線で新神戸駅まで出て、レンタカーで山間部を走りながら、中国地方と景色が似ているなと思いました。すぐ隣が鳥取県ですから当然です。
漁獲量も高く、冬になれば雪が積もるので、鳥取県北部だけでなく、その隣の島根県北部にも似た部分があります。環境だけなら、この3地域のどこに移住しても同じに思えるのですが、明確に違う点があります。

それは最低賃金です。

兵庫県北部が、お隣の鳥取・島根北部と環境が似ていても、最低賃金は兵庫県ですので神戸と同じなのです。この差は派手に大きいです。

兵庫県の2021年10月の最低賃金は928円、島根県は824円、鳥取県は821円です。
ちなみに兵庫県は上から8番目、島根県は32番目、鳥取県は38番目です。
さらに言えば日本三景の「天橋立」がある京都北部も同じようなロケーションですが、最低賃金はさらに高い937円で上から7番目です。

兵庫県と鳥取の差額108円×8時間労働×25日=21,400円。

1年で約26万円。ということは1年で1か月分の賃金ぐらいになります。

当然、これは優劣をつけるものではありません。鳥取県・島根県共に全国トップクラスの移住者を支援する制度が充実している県です。ですから最低賃金だけで決めるのはナンセンスです。

ちなみに島でも同様です。
移住やリゾートバイトで人気の東京の小笠原諸島・父島とほぼ同じ緯度の沖縄・那覇。
どちらも南国ですが、父島の最低賃金は1041円、那覇は820円。
似た環境ですが、最も賃金格差が生じます。
(ちなみに私が暮らす周防大島は857円です。)

再三言いますが、移住支援策や最低賃金だけで移住先を決めるものではありませんし、お金以外に得られる幸せがたくさんあります。様々な角度から判断しないといけません。こういう比較もありますということです。
(そもそも東京と地方では物価が違います)
それでもこういった地域の賃金格差が大きいということを知っていると、移住先を決める際の材料の一つにはなると思います。

毎年10月に厚生労働省より地域別最低賃金が発表されます。
お金がかからないと言われる田舎暮らしですが、最低限の収入は必要です。希望する移住地でどれぐらいの収入を得られるか目処を立てる際に、こういったものを一つの目安としてください。

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